top of page

多可ウルチの休日。

お米『ごめーん、餅米妖精たちのクレーム対応が大変で。今日はポルカーナ行けないや、悪い。』
ウルチ『了解しました、無理しないでね。』
お米『あいあーい』


「うーん、今日は何しようかなぁ…」

画面を閉じてスマホをポケットにつっこみ、教会へ向かってのんびり歩く。 お米さんは、稲がある世界じゃないと存在が希薄になるらしく、ポルカーナには二日間くらいしか滞在できない。
どこかの世界からワープ装置で通ってきているが…どうしても携帯ゲーム機にしか見えない。
まあそういう装置なんだろう。
あいつがどうやってペンを持ってるのかとか、スマホでメッセージをどう送ってるのかとか諸々、考えるのはもうとっくに放棄していることだ。

今日もアイリス嬢はクールだが、少し変化があった。
シスター・クリスのことを話題にすると反応を示してくれた。
なので最近アマ■ンで見つけた、人が丁度入れそうなサイズの業務用冷蔵庫をシスターにプレゼントしてみたいと計画を持ちかけたところ…
盛大にため息をつかれてしまった。
「まずジンジャーさんに相談したら?」
と答えてくれたが、そんなにダメな内容だったろうか。
ここはもともとジャングルで、熱帯地方。
ゾンビ化の進行を抑えるためにも冷やすのは重要だと思ったんだが…

少々凹みながら歩いていくと、丁度散歩中だったらしいてるてる君と会った。
真っ白なマントを羽織っていても、綺麗に影と同化できるのは何度見ても感嘆してしまう。

ついつい観察に熱が入り、陽光と人工灯による影のでき具合の差とそれに溶け込む再現方法についての考察などなど、思いっきり喋り倒してしまい怯えさせてしまったが、友だちになってくれたし握手もできたので、嫌われてないと思う。
…思いたい。

そろそろ夕方だ。
 ガーネットガーデンで晩ごはんにしよう…
そう思って、ハート池をぐるっとまわって通りすぎようとしたとき。

「あ、ウルチ君まって!」
「?」
「スマホ、落としたよー ハイ!」

   天 使 が い た 。

「あ、ありがと、ぅ。」
「それじゃ、またあしたね。」


「う、うわー…何今の笑顔…あ、あれー?あんな可愛かったっけ、あの娘… えぇー…うわぁ… い、いやいやいやいや、絶対こんな機械オタクとか眼中に無いだろ?無理無理ムリムリ…期待すんな駄目だぁー…あぁぁ…」


 「乙女さん…」


-----後日、お米さんがポルカーナに来るまで、府抜けたままになるウルチだった。

bottom of page