top of page
見えないからこそ見えている
あたしの相棒、ルストは生まれつき目が見えない。あたしのせいだ。 だけどあいつはあたしを責めた事は1度もない、というか怒ったとこもほぼ見たことない。
あいつはよく言う、
「見えないからこそ見えている」
のだと。
…あたしには、ちょっと難しい。
そんなある日、みっちゃんこと山水木。が散歩にきた。
ノースリーブがあたしと同じでちょっとだけ嬉しかった。
ルストも他の精霊の元気がいいから喜んでた、ルストが嬉しいとあたしも嬉しい。
「でもね、私はもっと嬉しく感じた事があるのですよ」
みっちゃんが去った後、ルストが言う。
なんなのか聞いてみたら、一言
「メリア、あなたがとても嬉しそうです」
…あたしの顔は、ルストには見えない。あたしには見せる力もない。 でもルストは「見ていた」んだ。
…いつか、盲目の霞から救い出せる精霊になりたいと思っていたけど、世界が見えたら、あたしが見えたらあいつはどうだろうか。
今はまだ、無理だけど。
「あたしが嬉しい時は、あんたが嬉しい時と同じよ」
今はまだ、これだけしか言えないけど。
きっと、これだけでも充分なんだ。
今はただ、暖かな日差しと精霊達に心を傾けて…
bottom of page