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オマリーさん騒動

「オマリーどのー!遊ぼーぞー!」  

 …オマリーが昼食の為に休憩に入った途端、察した藤原さんが交番に突撃してきた。  
 もはや『いつものこと』なのであまり気にしてはいないが、さすがに毎度の事となると多少困る。

「…あのなぁ、藤原さんや。おじさん今から昼飯休憩なんだよ、せめてそれ終わるまで待てない?」
「左様でござるか!ならばしばし待たせてもらおうぞ!」  

 と言って事務所の椅子にどっかり腰を下ろした。

「いやいやいや、待て。室内で待つのか?」
「左様!」
「左様!じゃない、交番は遊び場じゃねえんだぞ?」
「その位は心得ております」
「心得てるなら外で待ちなさい!」
「だが断る!」  

 …言っても聞かないとはまさにこの事か。  
 ふと、視線を感じる。
そこには、可愛い可愛い娘のジトっとした眼差し。

「あきら…っ!」  

 声をかけようにも、そのまま走り出してしまったから止めようがない。  
 …今日は昼食抜きにするか、と溜め息を漏らし、ガタンと立ち上がる。

「オマリーどの?」
「悪いな藤原さん、あきらが拗ねてるから探しに行くわ。また今度遊んでくれ」
「…ならば小生もあきらどのを探しましょうぞ!」

 そうと決まれば、と即行動に移すのが彼女のいい所であり悪い所でもある。  
 一目散に駆け出してしまった後ろ姿を見て、また溜め息を吐いた。  『見回りに行っています』 と看板を立てて、オマリーも愛娘探しに外へと赴いた。  

…一方その頃、ハート池。
ベンチでたこ焼きを食べながら、話し合う2人の人影。

「もー、パパが人気なのは嬉しいけど!藤原さんばっかずるい!ずるいったらずるい!」
「まあまあ、ほら、ラビィちゃんのたこ焼き美味しいですよ」
「食べる!」  

 ふくれっ面なあきらとそれを宥めるユキトミ。  
 実の父親の前では『お父さん』呼びだが、影では『パパ』呼びなのはあきらの兄達とユキトミだけの秘密。  
 ぷくぷくに膨らんだ頬にたこ焼きをはふはふと詰め込み、数回の咀嚼の後にぐっと飲み込んだ。

「……パパが人気者なのはいいけど、なんだかなぁ…」
「ふふ、オマリーさんが聞いたら大喜びで甘やかしてきそうですね」 「…そう、かな?」
「ええ、だって口を開けばうちのあきらはーって自慢話始まるんですから」  

 知らなかった事実に
「そうなんだ…」
と声を漏らすあきら。
その表情はどこか嬉しそうだった。  

 …この光景を見たオマリーさんが、勘違いでユキトミと揉めるのは、また別のお話。

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